【2020/05/15-16-17】CHAT NOIR

 クロがいってしまった。

 15日、まだまだ私の体調は悪いまま、仕事を少し。クロは四肢がおぼつかないながら、家の中をあちこち移動していた。作業中の私の仕事机の足元にもいた。一時呼びかけにも反応しなかったクロだったが、この日は呼びかけに応えていた。自分で窓際にも歩いて行ったし、水も飲んだ。この1週間なかったことだった。私が風呂に入る時も追いかけてきた。少し元気みたいでよかった。でもその前日は元気なつもりでロフトから冷蔵庫にジャンプして床に落っこっていたので気をつけて欲しい。足を引きずってうろうろするのはいいんだけど。危ないので動いている気配があるたびに確認してしまう。

 仕事が主に考え事のターンなのが厳しい。考えは途中で提出できない。そして集中力を要する。その上私は仕事の考え事について普通のノートで書き出し作業するというアナログなのであった……そろそろこれもデジタルにする必要があるのかもしれない。でもノートたちをiPadに移行しようとして失敗した過去を持つ私です。いやこういうの慣れだって知ってるんですけどね。なかなかね。

 16日、天気も悪く気温も下がった。クロの具合は悪そうで、布団の上から動かない。その隣から私もうまく動けなくなってしまった。よくないなあと思いながらクロの背を撫でて時間を過ごす。飼っている猫を見送るのが初めてでもなかろうに、そして小娘でもなかろうに、取り乱して動けなくなって、でも取り乱して動けなくなるのも正しい。いやそんなのに正しいも間違いもない。このあともしかしたら更年期とかでもっと情緒不安定になったりするのではなどと、とりとめなく鬱々とした思考を巡らせる。夕方、クロは体を痙攣させ、下痢を漏らした。そこから多分クロはもうほとんど意識がなかったのではないかと思う。

 17日に日付が変わったくらいから隣でウトウトしてしまう。起きたのはクロが隣でおしっこを漏らしたから。私の長袖のパジャマの袖がぐっしょり、あたたかく濡れていた。寝入ったときと目覚めたとき、クロの居場所は変わってなかった。私の左側。クロがいつもよく寝ていた場所だ。クロは時々足を痙攣させ、目は開いたまま、でも呼吸はしている。ぬるぬると時間が過ぎていく。朝4時頃、クロは何回か声をあげて、足をつっぱり、それからいってしまった。

 ちょっと様子がおかしくて初めて病院に行ったのが5/2、足に麻痺が見られてもう一度病院に行ったのが5/6、腫瘍が判明したのが5/7。そして今日が5/17。この10日間、あっという間だった。しかしクロは我が家産まれ我が家育ち、生まれてから食事に困ったこともなく、12歳で、いつも大体おっとりしていて、なのに最後は駆け足だったな。

 寝付けないままに朝を迎えて、この3日でクロの失禁や吐瀉物で2回替えたシーツ、それから布団カバーとタオルケットを全部洗濯して、軽くビールを飲もうとするけど、1本も飲みきれず、なんとか無理矢理寝て、午後起きてもぼんやりしたまま。ご連絡したり、お花をいただいたり、妹が来たり、メッセージをいただいたりして、夜、友達が生まれた頃のクロの写真を送ってくれたよ。ああ、こんなに小さかったねえ。ずっと一緒にいてくれてありがとう。

 おやすみ、クロ。

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