7-9月の観劇メモ

アオアシ

女子キャスのオタに連れられて行ったのであんまり期待してなかったんだけど、すっごいおもしろくて劇場埋まってないのもったいなかった。サッカーフォーメーションが演出でわかる舞台ってすごくないですか!? 原作読んでみたくなる2.5次元舞台って正しい。

 

奇子

A.B.C-Z五関晃一主演で中屋敷法仁作演出。これがまあよくできた舞台で、脇のキャストをとにかくがっちり固めてて、その上の中屋敷演出最高でした。あれを1時間45分にまとめる手腕よ。主演の魅力が存分に活かされていた。梶原善さんと中村まことさんが出ているので『髑髏城』を思い出してしまった。

 

『けむりの軍団』

劇団☆新感線。古田vs池田! 古田vs早乙女! いやあ楽しかった。チケット代が帝劇みたいな値段なんですけど、セット見たらそりゃそうですよねえ、って。あと殺陣! 殺陣最高だよ! 太一さん最高だ! 

 

ヘイポール!』

あんまりマイナスなこと言わないようにしてるんですけど、稀に見る無な舞台でびっくりしちゃった……。圧倒的に趣味に合わないというのはあるにせよ、役者勢がまあまあな演技を見せる中であんなに無とは。エンディングでまったく主人公が救われず、いや救われなくてもいいけど、じゃあここまではなんだったの、ブラックコメディ? できの悪い学生演劇かな? 10年前の趣味に合わないタイプの小劇場かな? そういう意味では稀有だった。勉強になるレベル。ほんとびっくりしちゃったなー。いとうあさこさんはよかったです。


舞台『刀剣乱舞』慈伝 日日の葉よ散るらむ

花丸方式に行くのかしらと思ったらそうはいかない刀ステ。あの本丸には三日月によって呪いがかけられてしまったのだな。その呪いは解かれたかに思えたんだけど、山姥切にもほかの刀剣にも消えることのない傷を負わせている。とはいえ日常っぽくて楽しい刀ステでした。末満さんによる刀ステサーガがどこまで続くのか楽しみ。劇場であるステラボールは無理矢理ステージ作ってる感あっておもしろかった。私たちは見やすいお席だったけど、見切れ席どうなんだろうあれ……。あと日常なので刀剣男子がジャージで登場するんですけど、あのそのえーとですね、ものすごくチンポジ気になった人がいて、大包平っていうんですけど、ほんと気をつけてほしいと思いました、笑


『SHOW  BOY』

見る前から大体楽しいことがわかっていた舞台。ふぉ〜ゆ〜主演。SHOWとそれにまつわるドタバタで楽しいに決まってる。役者も演出も満足であった。神田沙也加さんは本当に素敵な役者さんだよなあ、としみじみ。『ショウボート』のパロディつーかオマージュ舞台ということに気づいたのは見終わった後であった。

 

Drop by #4『ピリオドが打てない、』

カフェでの小さなお芝居。よくあることなんですけど、書けない作家の話は事前に心の準備をしたいので言ってほしい、笑 短編3本でドリンクついて1500円というのは素晴らしく、こういう公演がたくさんあるとうれしい。

 

父と暮せば

井上ひさしの名作。劇団だるま座×MAM合同企画で娘はトリプルキャスト。『父と暮せば』は『父と暮せば』なので、本当にいろいろ問われる舞台だなあとしみじみ。おふたりとも素晴らしかった。蒸し暑い8月の夜、少しカビ臭い地下の小さな劇場で観たという体験もまた稀有なものに思えてくる。舞台観てやっぱりすごい! と帰宅して、そのまま配信で映画『父と暮せば』見て、Kindle版で戯曲『父と暮せば』読んで、翌日たまたまこまつ座版もCSで無料放送だったので、全部見て、めちゃくちゃ勉強になってしまった。思い立ったら即映画版見れて戯曲読めるインターネット最高だなってのと、続けて見ることで舞台脚本と映画脚本というものについてすごく考えさせられた。ちなみに映画版も戯曲ほぼそのまま使っていて、でも違和感を感じさせる映像演出。舞台脚本とはなにかについて、戯曲『父と暮せば』あとがきで井上ひさしが答えを教えてくれてるなあと思いつつ、じゃあこの映画の違和感はなんだろうとネット検索したら、パンフレットでは井上ひさしの「あとがき」で私がなるほどなあ、と思った言葉『舞台の機知』が監督を悲観的にさせたと書かれているとあり、その上での映画化であのラストシーン、というのは腑に落ちた。あの違和感はわざとなんだな、それが戯曲をそのまま映画化した時の答えだったのだと、でもそこまでやらないと舞台脚本は映画脚本にならないということなのか。だとしてあの映画版のラストを解釈すると、もっとひどく悲しい話になる。そうか、これが『映画の機知』というやつか。しかし、井上ひさしのことを思う時、作品と作家は別だとわかっているのにどうしても家庭内暴力の話がよぎる。それでも『父と暮せば』は圧倒的に素晴らしく、なんなんだろうなと。

 

舞台『幽遊白書

オープニングから微笑みの爆弾が殴りかかってくるのすごい。全体的にはとにかくいろんな意味で90年代が襲いかかってくる。演出は正直そんな趣味ではないけど正解だし、あと鈴木拡樹の蔵馬と橋本祥平の飛影は今2.5次元で考えられる最高の蔵馬と飛影だったのでは。原作読み返したくなっちゃったな。いやすごい舞台だった。

 

萬腹企画8杯目『ヴォイスエレメント』

声の力言葉の力をまっすぐに平節で描いた作品。榎本温子樹元オリエという声優ふたりを主演にすえてのあのストーリーラインはすばらしい。しかしくだらないところはくだらない。その絶妙な外連味、本当に平康臣はうまい。でも2時間超えるのでつらいよー。おなかいっぱいだよー。いや萬腹だからいいのか、よくないわ!

 

『酒林堂八雲2019』

島根は松江のお寺で行われる怪談朗読会『酒林堂』。本物のお寺で蝋燭の灯だけで聞く豪華声優陣による怪談朗読マジやばい。皆様の演技もさることながら演出と音響がすごかった。怪談だけではなく出雲神話などもあって、お酒とおつまみついて、至れり尽くせりで最高であった。前日に『ヴォイスエレメント』で声の力というものを明文化された状態で見る声優さんの朗読に、まさにこれはヴォイスエレメントだなあとひとり感じ入っておりました。ところで前日『ヴォイスエレメント』で収録中に炭酸水をあけ音をたてた役者が叱られるというおもしろシーンがあったんですけど、この怪談朗読劇という水を打ったような静けさの中、私の前のお客さんがまさに炭酸水をあけて音を立てて、私の腹筋が崩壊寸前になった。みんな気をつけような……。

 

ドン・ジュアン

キスマイ藤ヶ谷太輔主演ミュージカル。主演は歌も踊りもめちゃくちゃがんばったな!? と思いつつ、最後までジュアンのことをまったく好きになれなかった……他の登場人物のこともあんまり好きになれなかった……。とはいえよくできたミュージカルでした。

 

『BLANK! 〜近松門左衛門 空白の十年〜』

浜中文一めちゃくちゃうまい。スズカツさんの演出もややしつこいところはあるけど、能や狂言を取り入れていておもしろかった。劇中で「この世のなごり、夜もなごり、死にに行く身をたとふれば、あだしが原の道の霜、一足づゝに消えて行く、夢の夢こそあはれなれ」を近松がやるんですけど、あまりに美しく素晴らしいセリフに胸が苦しくなってしまった。今まで名文だなとは思っていたんですけど、こんなにすごいセリフだとは。セリフとして書かれてるから当たり前なんですけど。このセリフを聞けただけで価値がある舞台だった。

 

『誰ガ為のアルケミスト 舞台版「聖石の追憶-闇ヲ見つめる者-』

弊社スタッフ脚本舞台。ゲネと本番拝見したのですが、本当に舞台はナマモノだなと改めて。ともあれすばらしかったです。

 

『どれミゼラブル!』

どのへんがミゼラブルなのかはわかんなかったけど、面白かった。役者の力量の話は難しいなあ。早乙女弟がんばれ。はんにゃの金田くんすごい花ある。なんなら主演より花があった。あと当然ではあるんですけど、石橋徹郎さんが素晴らしすぎてノックアウト。石橋さんがいないと舞台が成立してなかったと思う。ただ私は舞台上で役者が持っている持ちネタみたいなのをやるのがそんなに好みではなく、そのへんバランス難しいなあと。いやおもしろかったんですけど! エッセンスくらいならいいんですけど、ズクダンズンブングンゲームそのままやっちゃうのはどうなの。石橋さんがシェイクスピアやるのはいいんだけど! このバランスわかります!? しかし演じることと未来について考えちゃう舞台だった。あと銀座じゃなくて下北で見たかったけど仕方ないか!

 

『ノゾミ』

日芸出身勢による芝居なんだけど、若さという前提でその若さを見に行った感じ。若さって素晴らしいな。でもこういう芝居する時に言い訳すんな。寺山修司元ネタなんですけど、この手のお芝居って1時間半だと超名作になるのになぜ2時間15分で駄作になってしまうのか……。若い小劇場の人ほど尺と観客について考えてないと思う。劇場の規模と適切な尺というのはある。

 

『ファクトリーガールズ 〜私が描く物語〜』

19世紀を舞台に実話ベースで女性の労働運動を描いたミュージカル。文章を武器に女性の権利のために戦うってもう個人的にそれだけでちょっと泣ける。それが最高の音楽と歌で描かれるとか最高のミュージカルでしょ。最近のアメリカ系ミュージカル新作って女性の話が多い気がするんだけど、女性ばかりが舞台に立っているところは圧巻だった。柚希さんたくましいなあ、そしてソニンちゃんは可憐。清水くるみさんがすばらしかった。ただエンタメ感にはちょっと欠ける気もしたので(いや歌と踊りはパーフェクトにエンタメなんだけど!)難しいなあ。ところでI列センブロで前のめりで見ていたおそらく関係者のことを誰か叱ってほしい。

 

10月も3本ほど入っておりますが、17演目19公演でした。あと8月はA.B.C-Zのコンサートに何回か。そんな感じです。