華麗なる逆襲

 発端から10日とすこし。スマスマから1週間。ずっと考えている。

 当初よりも報道は静かになったし、考える時間もできた気がする。

 SMAPは終わらないアイドルだと私はずっと思っていた。そう思って勝手に安心していた。でも普通に考えたら、6人の男の子が10代から25年以上一緒にいて、仕事して、それでひずみが出ないなんてことはありえない。だから1人いなくなったし、他にもいろんなことがあった。ずっと一緒にいて、そのまま40代になって、それでトラブルが起きないなんてことはきっとありえない。他のグループだってきっとなんらかのひずみはあるのだろう。その発露が今回の騒動なのかもしれない。

 彼らがSMAPでいる必要ってなんなんだろう。国民的アイドルっていったいなんなんだろう。この事件で私が感じたのは、私たちファンが思っているよりもはるかにSMAPはみんなに愛されているということだった。それを多分事務所は侮ったのだろうし、もしかするとSMAP自身も侮っていたのかもしれない。

 騒動は終わってない。水面下でなにかが蠢いている。

 ずっと「華麗なる逆襲」が始まればいいと思っている。それをできる限り応援したいとも。

 こういうときSMAPの歌はどんな状況にだってあてはまるってのも、新たなる発見だった。喜びも悲しみも勇気も絶望も彼らは歌ってきた。

 会見直後、私は『Triangle』の歌詞を思った。2005年の紅白歌合戦で歌われた曲だ。「未来の世界を愛せないよ」と。そして「構えた銃は他でもなく僕らの心につきつけられている そう、怯えるキミの手で」と歌は終わる。ファンの応援が、背中から銃口をつきつけられている彼らに、前からも銃をつきつけてしまったのではないかと思ったのだ。だってあんな顔、見たくなかった。あんな顔をさせてしまった一因はファンにもあるんじゃないかと思ってしまったのだ。それくらいショックだった。

「エンタテイメントの力を信じている」という彼らの言葉を私は繰り返し口にしているけれど、もしあの会見でさえエンタテイメントだというなら。そんなエンタテイメントクソみたいだけど、それがこれから始まる「華麗なる逆襲」の始まりだとするなら。

 香取慎吾はかつて27時間テレビでこう言った。「テレビの嘘が最高に楽しいです」と。その言葉を今思い出す。

 そしてSMAPの54枚目のシングル『華麗なる逆襲』はこう歌う。

「どんな逆境だってたのしんでしまえ さあ 面白おかしく俺は勝ち逃げするよ」